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これからの「予防教育」のあり方

お知らせ
2022.05.11
これからの「予防教育」のあり方
●安全運転を支える知的能力トレーニング
 ・運転操作スキルに個人差はあまりないが、安全運転を支える知的能力(注意力、認知力、メタ認知力)はかなり個人差がある。
しかし、教習所では運転操作スキルの評価(技能検定)はしてきたが、知的能力に対する評価は一切してこなかった。あるいはできなかった。目には見えないから、気づいていなかったのである。
この「知的能力」をトレーニングし、高めていかなければ、事故を予防することはできない。

それは具体的にどんな能力か???

知的戦略能力=自己抑制能力

「今ここであせってはならない」
「今危険を冒すべきではない」
「今ここで飛ばすことと、人生を棒にふることと、どちらを選ぶか?」
と、自分に問いかける能力。自分に言い聞かせる能力。

あるいは、普段から、その緊張感を保っておく力=認識=覚悟。

普段何の気なしに「自分勝手」な安易な運転をしているため、この安全運転に必要な「知的能力」を高め、鍛える手段を講ずるチャンスがない。

唯一できるのは”ヒヤリ・ハット”のふり返りをすることのみである。

どのようにして、この「知的能力」をつけるか?
→そのことによって、どのくらい事故を予防することができるか?


~想い遣りは想像力~

「今ここで危険を冒すべきではない」
と考えることができる力をどのように育てていけば良いか?
「今ここで飛ばして目的地へ急ぐことと、人生を棒にふることと、どちらを選ぶか?」
知的戦略を立てられる力をどのように育てていったら良いか?
~知的戦略能力をトレーニングする方法~

「ここで飛ばして事故を起こしたら自分はどうなるか」想像できる力。

→それを素直に考えられる力を養う。

⇩そのためには

普段から「最悪の事態に自分はどう対処したらよいか」繰り返し考えておく。

【例1】福岡の飲酒運転→かわいい子(孫)を3人一瞬のうちに奪われた→3人のこのことを思わない日はありません。いとおしさはずっと変わらず、その思いが心の支えになっています。(腹が煮えくり返る)→その両親(祖父)にどのように許しを乞えばいいのか…。

【例2】対向車より先に右折をしてしまうと、あわてて発進し、右折方向の横断歩道を渡ってきた主婦を30m車輪に巻き込んだまま走行し、脳みそを道路にまき散らす事故を引き起こし、「うちの家内を元通りに戻せ!」「なぜこのような事故が起こったのか説明せよ!」と言っているご主人に何と言って詫びたらいいのか…。

①一度想像してみよう
②自分にも一歩間違えればこのような事故を起こしてしまうようなことはなかったか、ふり返ってみよう。
③今の気持ちを「危険を敢えて冒そうとしている時に思い出そう!!」
④あるいは「運転のことを何も考えず、ぼんやり運転している時に思い出そう!!」



「今の運転を続けるか、人生を棒にふるかどっちだ!!」と自分に問いかけること。

これは、運転操作のスキルより重要な「能力」「力」である。
自己都合の欲求に勝てない自分、軽い自分を自覚せよ!!

「あの失敗を引き起こした時も、今と同じこんな心理状態だったな…」ということを思い出す。

「あの事で頭の中がいっぱいで、周りが何も見えなかった、あの時と同じだ…」(レジャービュー)
~「危険に気づく力を育てよう!」~

学科教習は、学科試験合格のノウハウだけでなく、ルールの趣旨、想いを伝えよう。

技能講習は、運転操作スキルだけでなく「危険に気づく力」「危険に近づかない力」を育てよう。

「危険に気づく力」とは、外的な危険と自分の中にある内在的な危険と両方の危険に敏感になること。

ヒューマンエラーを科学する
”人間の注意特性”

●注意の特性
 注意にはリズムがある。緊張と弛緩の繰り返しである。
 注意には目がある。視線の向いたほうにしか注意は働かない。
 注意の選択性:注意は、関心のあるものは選択するがそれ以外のものには注意は働かない。
 注意の深さ:一点集中という現象があるように、集中すると他のことへ注意が働かない。
 注意の範囲:一瞬にとらえられる範囲、モノ、情報には限界がある。

●不注意

 1.注意の転導「脇見運転」
   他のものに注意をひかれ、本来注意すべきものから目を離す。

 2.置き換えによる忘れ「走行中の携帯電話使用」
   他のものに注意をひかれ、かつそれに関連した操作を行う。

 3.動作の中断
   必要な操作・チェックが抜ける。

 4.思い込みによる忘れや誤操作

 5.おそらく誰かがしてくれただろう
   結果としてだれも実施せず、操作や動作が抜ける。
~「キーとじ込みエラー」の原因~

1.一連動作の中断
  荷物があった、荷物などで手がふさがっていた、車外に出るまで車内で用事をした。

2.次にすることを考えていた
  車外に気になる物や人がいた、車を降りて次に行うことを考えていた。

3.考え事をしていた、ぼんやりしていた

4.早く出ようと焦っていた
  ※「あとでやろう」という状況はしばしばエラーを誘引する。

~注意を高めるためにどうしたらよいか~

1.外側からのアプローチ
  対象物を見やすくする、大きくする、繰り返し表示する。

2.内面からのアプローチ
  限られた注意力を有効に使うため、「ここだけは」というポイント押さえが、出発前のミーティングなどで、あるいは自分でイメージを描くなどの工夫が必要。